Maison Margiela(メゾンマルジェラ)は1988年創業以来、前衛とクラフツマンシップを融合させてきたメゾンです。今や感度の高い男性のワードローブにも欠かせない存在となりました。
象徴的な背面の四つの白ステッチと番号タグは、ロゴを控えめに示しつつ持ち主だけが誇れる“匿名性”を演出します。“Anonymity of the lining(アノニミティ・オブ・ザ・ライニング)”という哲学が、日常性とラグジュアリーの両立を可能にし、人気を支えています。
メゾンマルジェラは常に再解釈と再構築を重ねることで、既成概念を覆す“デコンストラクション”を象徴的手法としてきました。ジャケット裏地を表に出すなどの実験は、バッグや小物にも受け継がれ、実用と芸術性を調和させています。
近年バッグラインもユニセックス化が進み、メンズでもバックパックの選択肢が豊富です。なかでも「Glam Slam(グラム スラム)」と「5AC(ファイブエーシー)」は定番モデルとして根強い人気を誇っています。
「Glam Slam(グラム スラム)」は2018年春夏ショーでデビューしたキルティングバッグの派生モデル。クッションのように柔らかなマテラッセ調パディングが背中に心地よくフィットし、“無意識のグラマー”というコンセプトを体現します。スポーティーなナイロンやソフトレザーで軽量に仕上げられ、タウンユースからトラベルまで幅広く対応します。
対して「5AC(ファイブエーシー)」はクラシカルなトップハンドルを備えた折り畳み式シルエットが特徴。“SAC”への言及をひねった名称どおり、外側と内側を反転させる発想でライニングをあえて露出し、ブランドの匿名性を際立たせます。コバを手塗りで仕上げるなど職人技も光り、ビジネスにもカジュアルにも映える汎用性を持ちます。
四つのステッチだけを残したミニマルなナイロンバックパックなど派生デザインも多彩で、装いに溶け込みながらも鋭い個性を放ちます。ロゴで語らずディテールで雄弁に語る――それがメゾンマルジェラのバックパックが大人の男性から支持される最大の理由です。