2017/05/17
コロンビア Wayuu族の手編みバックMochila(モチーラ)について
先住民Wayuu族とは
Wayuu(Wayuu, Wayu)先住民族とは、南米コロンビアとベネズエラ国境地域のカリブ海に面した半島に住む先住民のことです。
コロンビアでは、北部のラ・グアヒラ県の人口の半分弱がWayuu先住民族であり、コロンビア先住民人口の20%を占め、国内で一番大きい先住民グループです。
Mochila(モチーラ)とは
コロンビアでは肩掛けバックのことを「Mochilaモチーラ」と言い、特にWayuu先住民族とArhuaco先住民族のモチーラが有名です。
Arhuaco先住民族のモチーラは、羊毛100%の自然な色合いが特徴的で、(Arhuaco族のモチーラについては別の回で。)
Wayuu先住民族のモチーラは、カラフルな色の糸(綿かアクリル糸)を使い、その鮮やかな色が特徴です。
このWayuu先住民族のモチーラは、以前は「民芸品のバック」という印象で、コロンビア国民自身も使っている人は多くなかったようです。 しかし、コロンビア人デザイナーが流行りを取り入れたモチーラを売り出し、それをコロンビア有名女優だけでなくハリウッドセレブが愛用したことがきっかけで、国内ないし海外でもモチーラが有名になり、コロンビア国民の多くがモチーラを愛用するようになったそうです。
日本では、民芸品を普段使いとして使用する人は少ないと思いますが、コロンビアでは本当にモチーラを使っている人をたくさん見かけます。
個人的には、自分の国の物を愛用するのはとても素敵だなと感じました。
Wayuu先住民族は、昔から伝統的に生活の必需品としてこのモチーラを使ってきました。
そして、このモチーラを作るのは主に女性の仕事です。母から娘にこの伝統は受け継がれています。
彼女らは、モチーラ作りに誇りを持ち、一つ一つ大切に手編みで作っています。
特に、「de solo un hilo」というタイプは、「一つの糸で」編んで作るモチーラで、網目が細かくデザインも素敵で私も大好きです。
ですが、デザインが複雑になればなるほど根気・集中力が必要な大変な作業です。
どのようにモチーラができるかのビデオを見つけたので良かったらチェックして見てください。
ビデオ内で最初に話す赤い服の女性は、ラ・グアヒラ県の国立職業訓練学校でモチーラの作り方(伝統)を教える先住民の女性で、次に出てくる若い女性はその学校の生徒さん(おそらく同じ先住民)のようです。
モチーラには大きさや用途によって様々な種類がありますが、一般的に売られているサイズを作るのには約25日掛かるそうです。
https://youtu.be/9nuDt8FBfOM
写真引用:https://www.mama-tierra.org/entrevista-isabel-guedez-palmar-una-de-las-mejores-tejedoras-de-la-guajira/
生産者たち
モチーラはWayuu先住民族の文化・伝統です。
モチーラが有名になったことをとおして、Wayuu先住民文化にも改めて価値が認められ、モチーラ作りの伝統を若い世代に継承していく動きや、生産者を支援する団体も出てきました。
生産者は主に、個人でモチーラを作り道端で販売していますが、最近では複数の生産者が組合を結成し、生産者同士で協力して販売する動きも始まっています。
これにより、安定的な販売ルートを確保でき、販売に掛かるコストを軽減できるだけでなく、先住民が組織として社会に参加する重要な機会にもなります。
また、Kaliinasという民芸品を扱うショップは、生産者である400名の女性と提携し、彼女たちへデザインや商品の管理指導を行い、その商品を買い取ることで、生産者の女性たちに安定的な販売ルート=収入を提供しています。(Kaliinasのホームページはこちら。)
これも一つの支援の形であり、今後このようなショップ(会社)が増えてくると思います。
こんな感じで、Wayuu先住民族のモチーラについて書いてみました。
私はこのモチーラが大好きなので、可愛さだけでなく、背景や文化もたくさんの人に知ってもらえたら良いなと思います。