(エルメス)カレ90スカーフ《エルメスの職人たち》大判 (53782307)
画家、山口晃によるエルメスの新作カレがついに発売された。8年越しのプロジェクトとなった作品のテーマは“職人づくし”。山口がカレに描いたエルメスの工房探訪記を語る。アトリエ近くにあるお馴染みの喫茶店で、出来上がったばかりのカレを見る山口。話は8年前に遡る。2011年、〈銀座メゾンエルメス フォーラム〉で展覧会を行うことになった山口の作品を見るために、パリからエルメスのアーティスティック・ディレクターであるピエール=アレクシィ・デュマがやってきた。馬具工房として始まったエルメスの歴史も踏まえて、山口の所属ギャラリーは、馬とオートバイが合体した想像上の“馬バイク”を描いた『日清日露戦役擬畫』など、馬をモチーフとした作品を数点用意した。それを見たデュマは、展覧会に加えて、「カレ」の制作を山口に依頼する。これを受け、その数ヶ月後に山口は制作のための視察として、フランスにあるエルメスの工房を訪ねる旅に出る。それから時が流れること7年、ようやく仕上がった山口の絵はパリへと運ばれ、カレの制作がスタート。そして2020年、絵の世界は色とりどりのスカーフへと姿を変え、山口晃のカレ「エルメスの職人たち」が完成した。山口の絵をカレの版に起こす作業が行われている様子が描かれている。 “職人づくし”というテーマの通り、カレにはエルメスの工房で働く職人たちの姿が描かれている。「せっかくフランスへ行くのだから、あえて事前に何も考えず、現地でハッと思ったことを描けばいいという姿勢で旅立ちました」と山口は振り返る。訪れたのは、ブルゴワン、リヨン、パリの3ヵ所だ。シャルル・ド・ゴール空港からTGVに乗り、まずはカレの版を制作するブルゴワンにある工房へ。「野っ原の敷地に2階建ての簡素な工房が建っていて、飾り気はないけれど素敵なんです」と、山口はまるでついこの間の出来事のように語り出す。カレの裁断や縫製を行う工房の様子が描かれている、カレの部分アップ。机の上に描かれた猿は、日本では馬の守り神との説もある。「工房では版に起こす職人が、カラーの絵を黒のインクの濃淡で置き換える作業に取り組んでいました。お昼時には前庭でお弁当を持ち寄って食べていたりして、そうした職人たちの姿が実に面白く、これは“職人づくし”だなと思いました。ここに描いたのは、私の想像ではなくあくまで工房訪問探訪記です」。パリ、フォーブル・サントノーレにあるエルメス第1号店とエッフェル塔。屋上に建つ“騎乗の花火師”の像も日本バージョンに。とはいえ、カレに表現されているのは、山口の目を通した職人たちの姿だ。建物は日本家屋へ、仕事着を着た職人たちは着物姿へと変換されている。「フランスの工房を訪れた人の話を、日本の絵師が聞きかじって絵におこしたという体裁です。絵師は日本から出たことがないから、すべてジャパンナイズ。『東京タワーみてえのが建ってんだよ。エッフェル塔っていうんだよ。赤と白でなくて茶色が錆びたような妙な色でね』あ、落語調にしなくていいんです」。山口による原画。中央のスクエアに描かれた“馬バイク”に颯爽と乗る人物は、女性騎士をイメージして描いたという。プリントから裁断、縫製を行うリヨンでは、インクの調合から手縫いでカレの縁をかがる手しごとまで、様々な工程をプロフェッショナルに行う職人たちに出会った。
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